製品情報

摩擦式締結具とは

摩擦式締結具とは、様々な産業機械の回転軸とプーリや歯車などを締結するために使用される機械要素です。

摩擦式締結具は産業機械をはじめ工作機械や半導体製造装置、食品機械などに幅広く使用されています。
代表的な方式として、くさびの原理を利用したくさび方式(メカ方式)と、パスカルの原理を利用したハイドロ方式(油圧方式)があります。

用途や使用する場所によってくさび方式とハイドロ方式を使い分けることが出来ます。

それぞれの特徴をよく理解して、用途や使用する場所に合わせた摩擦式締結具を取り入れることによって、工数の削減やメンテナンス性の向上など様々なパワーを発揮します。

 摩擦式締結具の役割

摩擦式締結具はなぜ必要?

従来、一般的な軸締結方法としては主にキーによる締結方式が用いられてきました。
しかし、キー締結には以下のような課題があります。

  • ・バックラッシが発生したり、回転バランスが悪いため精度が必要な機械には向いていない。
  • ・軸を加工(キー溝加工)しなければいけないため余計な費用がかかる。
  • ・軸のフレッティング摩耗(軸ヤセや焼付き)が起こるため軸の強度が低下する。
  • ・位相合わせが難しく、カムやギヤの位置決めをすることが困難。
  • ・振動などでキーが軸方向に抜け落ちてしまう場合があり、抜け止めが必要になる。

キーによる締結方式には様々な課題があります。

これらの課題を解決する締結要素として摩擦式締結具が利用されています。
摩擦式締結具には、汎用性の高いくさび方式とメンテナンス性の高いハイドロ方式があり、 これらの摩擦式締結具をお客様の設備に合わせて使い分けることにより、さまざまなパワーを発揮します。

 摩擦締結方式の種類と特徴

摩擦式締結具には主に以下のような種類があります。

1.  くさび方式(メカ方式):安価で汎用性が高いですが、取付けや取外しに手間や時間がかかります。
2.  ハイドロ方式(油圧方式):くさび方式に比べて若干高価ですが、メンテナンス性がよく取付けや取外しが簡単・迅速かつ高精度です。
種類 写真 トルク 作業性 位置決め精度 同心性 価格 公差 温度 詳細
くさび方式 くさび方式の摩擦式締結具
ハイドロ方式 ハイドロ方式の摩擦式締結具

摩擦式締結具のメリットを最大限発揮するためには、使用する場所や用途によって、その設備により適したものを使用する必要があります。以下でそれぞれの詳しい特徴を解説しています。

1、くさび方式(メカ方式)の特徴

2つのテーパリングに軸方向からパワーを加え、くさび効果で軸・ハブ間に圧力を加えて締結します。

くさび方式の摩擦式締結具は円筒形状の部品とねじなど複数の部品で構成されます。
一般的に「くさび方式」や「メカ方式」などと呼ばれています。

2つのテーパリングに軸方向からパワーを加え、くさびの原理を利用して軸とハブの間に高い摩擦のパワーを発生させて締結する方式です。
小型で高トルクが伝達でき、相手部品の加工公差が大きくとれます。
また、キー溝がある軸でも条件により使用が可能です。

しかし複数のねじを使用するために着脱に時間がかかったり、締め忘れが発生する可能性があります。さらに取り外しを行う場合は、ねじを締めるためのスペースや取り外し用ねじを挿入するためのスペース(抜きタップ)が必要になることに注意が必要です。
加えて面圧のパワーが高いためにハブ外径が大きくなってしまう、セルフロック(くさびが噛みこんで取り外しできなくなる)が発生する可能性がある、取付時に軸方向に移動するため位置決めが難しい。などの点を考慮する必要があります。
まとめ:くさび方式の良いところ
・小型で高トルクを伝達できる
・相手部品の加工公差が大きくとれる
・キー溝がある軸でも使用可能
まとめ :くさび方式の注意点
・複数のねじを使用するため着脱に時間がかかったり、ねじの締め忘れが発生する可能性がある
・軸方向に移動するため位置決めが難しい
・取外を行う場合、抜きタップ等が必要
・相手部品への面圧が高い為、部品設計に注意が必要

2、ハイドロ方式(油圧方式)の特徴

摩擦式締結具の動作原理がわかる画像です。スリーブ内に封入された圧力媒体を1本のねじで加圧・圧縮することで、軸とハブの間に摩擦のパワーを発生させて締結します。

ハイドロ方式の摩擦式締結具はパスカルの原理を利用して締結する方式です。(パスカルの原理について
一般的に「ハイドロ方式」や「油圧方式」などと呼ばれています。
スリーブ内に封入された圧力媒体を1本のねじで加圧・圧縮することで、軸とハブの間に摩擦のパワーを発生させて締結します(→動作原理動画はこちら)。

限られた作業スペースで着脱が可能で、且つ、ねじ1本を締めるだけで誰でも高精度に取り付けることが出来ます。
さらに、ハブ側の面圧が低いためハブの外径を小さく出来る、セルフロックが起こらない、締め付け時に位置決めがしやすい。などの利点があります。

一方で使用温度によってトルクが変化するため使用環境には注意が必要です。
また、キー溝がある場合はキー溝を埋める必要があります。
くさび方式と比べて価格は高いですが、着脱が頻繁な箇所や高い取り付け精度が必要な箇所に使用することで格段に作業工数を短縮でき、トータルコストを削減することができます。
まとめ:ハイドロ方式の良いところ
・取付・取外しが簡単
・誰でも高精度な取り付けが可能
・位置決めがしやすい
・ハブ側の面圧が低く、ハブ外径を小さくできる
・セルフロックが起こらない
まとめ :ハイドロ方式の注意点
・キー溝がある場合、キー溝を埋める必要がある
・使用温度によりトルクが変化するため注意が必要

 摩擦式締結具の特徴に合わせた最適な使用個所とその効果

くさび方式に最適な使用個所

くさび方式は取り付けの際、複数のねじを使用するために着脱に時間がかかります。
またハブが軸方向に移動してしまうため位置決めが難しくなりがちです。
そのため着脱回数が少なく高精度な取り付けが必要ない箇所での使用に適しています

ハイドロ方式に最適な使用個所

ハイドロ方式はその革新的な構造・動作原理によってねじ一本を締めるだけで締結が可能なので、位置決めが簡単、かつ高精度な取り付けが可能です。 そのため段取り替えや分解・メンテナンスなどにより頻繁な着脱が必要な箇所や、高精度な取り付けが必要な箇所に採用することで工数改善効果が得られます

具体的にどの程度の改善効果が得られるのか、具体的な計算例を以下で紹介しています。

計算例

例えば、頻繁にメンテナンスを必要とする設備にくさび方式を採用していた場合。
見直しを行い、ハイドロ方式の摩擦式締結具に置き換えると、工数削減効果が得られます。

以下の例で計算すると、ハイドロ方式の摩擦式締結具を1か所置き換えしただけで年間2万円以上の工数削減効果が得られます。
お客様のご使用条件を当てはめて、くさび方式とハイドロ方式どちらを採用するのが効果的なのかをご確認ください。
(→くさび方式とハイドロ方式の着脱時間比較動画はこちら)
  くさび方式 ハイドロ方式
作業賃率 35円/分
着脱回数/日 1回
取り付け時間/回 190秒 19秒
取り外し時間/回 60秒 19秒
価格 5,500円
(PSL-G-30の場合)
13,310円
(ETP-E-030の場合)

上記の条件でくさび方式とハイドロ方式を比較すると…

1回の着脱での作業時間の差 =212秒
1日の工数削減効果≒124円
1年間(240日)の工数削減効果=29,760円
くさび方式とハイドロ方式の価格差=7,800円
ハイドロ方式を1か所に採用で…
工数削減効果/年=21,950円

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 摩擦式締結具の採用事例

三木プーリの摩擦式締結具ラインナップ

三木プーリの摩擦式締結具は以下のようなラインナップになっています。
モデルごとの特徴や詳細を表形式で紹介しています。
「詳細はこちら」ボタンからそれぞれのモデルの仕様や寸法、図面や構造・材質などの詳しい情報をご覧頂けます。

モデル 方式 写真 特徴 採用事例 仕様詳細
ETP-E Plus
(ETPブッシュ)
ハイドロ方式 三木プーリのハイドロ式摩擦式締結具 ETP-E Plusモデル モータ軸寸法
対応
一本締め >採用事例
ETP-T
(ETPブッシュ)
ハイドロ方式 三木プーリのハイドロ式摩擦式締結具 ETP-Tモデル 高精度取付 一本締め >採用事例
ETP-A
(ETPブッシュ)
ハイドロ方式 三木プーリのハイドロ式摩擦式締結具 ETP-Aモデル 高ラジアル
荷重対応
ボルト本数少 >問い合わせ
ください
ETP-H
(ETPブッシュ)
ハイドロ方式
くさび方式
三木プーリのハイドロ式摩擦式締結具 ETP-Hモデル 高ラジアル 高トルク >採用事例
PSL-G
(ポジロック)
くさび方式 三木プーリのくさび式摩擦式締結具 PSL-Gモデル 高トルク 高ラジアル
荷重対応
>問い合わせ
ください
PSL-K
(ポジロック)
くさび方式 三木プーリのくさび式摩擦式締結具 PSL-Kモデル スリーブ
内外径比小
高ラジアル
荷重対応
>問い合わせ
ください
PSL-D
(ポジロック)
くさび方式 三木プーリのくさび式摩擦式締結具 PSL-Dモデル 中荷重用 高ラジアル
荷重対応
>問い合わせ
ください

ハイドロ方式の摩擦式締結具 採用事例

ハイドロ方式の摩擦式締結具の採用事例についてお客様から多くご質問を頂きます。
以下では三木プーリの製品を例として、具体的にどのような個所にハイドロ方式の摩擦式締結具が利用されていて、どんなメリットがあるのかをご紹介しています。

ETP-E Plusモデル 採用事例
ETP-Tモデル 採用事例
ETP-Hモデル 採用事例

ETP-E Plusモデル 採用事例

↓搬送・包装・印刷機械

摩擦式締結具ETP-E Plusモデル 採用事例:搬送、包装、印刷機械

搬送、包装、印刷機械の様々な用途でETP-E Plusは採用されています。
タイミングプーリやスプロケットの最終位置決め、位相調整がボルト1本で可能です。
しかもラジアル方向から調整ができるため省スペース設計に貢献します。
さらにアルミや鋳物などの極面圧が受けられない材質のハブでもETPハイドロ締結の均等な面圧で使用可能です。

↓新聞印刷の折り込み装置

摩擦式締結具ETP-E Plusモデル 採用事例:新聞印刷の折り込み装置

新聞印刷の折り込み装置は、軸に放射状の折込装置を固定するためラジアル方向からの取り付けが必要でした。また振動を抑えるため高い同心度が要求されます。
ETP-E Plusは一本締めのためラジアル方向からの取り付けが可能です。
また同心度が高いためこのような課題の解決が可能です。

↓チェーン伝導などでの位置決め、同調が必要なコンベアー用途に

摩擦式締結具ETP-E Plusモデル 採用事例:チェーン伝導などでの位置決め、同調が必要なコンベアー用途に

プーリーやスプロケットの回転位相調整に役立ちます。
ETP-E Plusはラジアル方向から、狭いスペースでもボルト1本で緩め・調整・締付けが簡単。短時間に調整ができ、生産効率が上がります。

ETP-Tモデル 採用事例

↓自動車のアルミニウムラジエター生産ラインでのローラー固定

摩擦式締結具ETP-Tモデル 採用事例:自動車のアルミニウムラジエター生産ラインでのローラー固定

ETP-Tモデルの同心度は0.006mmと超高精度。軸方向の調整や保持が簡単にできます。
例えば自動車のアルミニウムラジエター生産ラインでのローラー固定に利用され、確かな同心度かつ軸方向の位置決めが簡単に調整可能です。
締結後は高いスラスト荷重も受け、製造ラインの段取り変更時にはボルト1本で取り付けが調整可能です。

↓印刷機械での炭素繊維製の特殊ギアーをETP-Tモデルで締結

摩擦式締結具ETP-Tモデル 採用事例:印刷機械での炭素繊維製の特殊ギアーをETP-Tモデルで締結

ETP-Tモデルは中程度の均一な面圧により柔軟な特殊ギアーの許容面圧を維持、変形を防ぎます。また、高精度な取り付けによりアンバランスおよび騒音を低減します。

ETP-Hモデル 採用事例

↓鉄の延伸ローラーの固定に

摩擦式締結具ETP-Hモデル 採用事例:鉄の延伸ローラーの固定

ETP-Hモデルでローラーの正確な調整と位置決めが可能。高いラジアル荷重が受けられます。
ローラーの交換は油圧ポンプにより簡単に短時間でできます。

生産体制の見直しや改善を進めていく上で作業能率改善、生産効率のアップなどのメリットを最大限得るためには、こうした部品の一つから見直し、それぞれの部品をお客様の設備に合った最適なもので選定する必要があります。

伝動・制御機器、機械要素分野において長年の歴史を持ち、長年トヨタ生産方式を取り入れて生産体制の改善に取り組んできた三木プーリだからこそ持つ知識や技術力を駆使して、お客様の設備において最大限パワーを発揮できるような機械要素部品、摩擦式締結具をご提案いたします。

生産体制の見直しや部品選定の際は三木プーリまでぜひ一度ご相談くださいませ。

摩擦式締結具のことなら三木プーリにお任せください!

「自社の設備にどの摩擦式締結具を取り入れたらどんな効果があるのか説明だけでも聞いてみたい。」
「自社で利用している摩擦式締結具を見直したい・・・」
「そもそも設計のことなんか全然わからないから選定して欲しい。」

などなど、上記のような疑問やご要望をお持ちの方は以下のお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。
弊社の技術スタッフがお客様の設備に合った摩擦式締結具をご提案・ご説明いたします。

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