発振とは? | やさしいWEBセミナー

2026/05/07

発振とは?発振の原因と対策、共振との関係性を解説!

学びのチェックポイント

発振とは?

カラオケでスピーカがキーンとなるのはなぜ!? 
はまちゃん: 橋本先生!この間、カラオケでマイクのボリュームを上げたら、スピーカからキーンという大きな音が出てびっくりしました。一体何が起こっているのでしょうか?

橋本先生:なるほど。それは、「ハウリング」という現象だね。 「ハウリング」は音響設備で起きる現象なんだよ。 機械設計で問題視されている、サーボモータの「発振現象」もこのハウリングとよく似ているんだ。今日は「発振」についてくわしく学んでいこう!

ハウリング現象
橋本先生:まずは、カラオケの「ハウリング」について考えてみよう。 スピーカとマイクを近づけたり、アンプのボリュームを上げると”ピーー”とか”キーン”と鳴る、あの現象のことを「ハウリング」と呼ぶよ。

■カラオケで起こるハウリング現象のメカニズム

カラオケで起こるハウリング現象のメカニズム

はまちゃん: マイク、アンプ、スピーカ、それをまたマイクで拾って、ぐるぐる回り続けて止まらなくなってしまうのですね。

橋本先生:その通り。電源を切るか、マイクをスピーカから離さない限り延々に続いてしまうよ。


ハウリング現象と発振
橋本先生:産業機械やロボットなどに使われるサーボやステッピングモータも、まれにハウリングと似た現象が起きるんだ。装置を動かすための指令に対して結果の「フィードバック制御」の情報の遅れや装置の「固有振動数」などが影響しているんだよ。

サーボモータでは「発振」や「共振」という呼び方をしているんだ。 ステッピングモータは、一般的に「オープンループ」といって指令した分だけ動く制御を行っているので「発振」するケースはないんだ。 でも、高精度を要求される場合、サーボモータと同じようにフィードバック制御をすることがあるので、ステッピングモータでも「発振」が起きるケースがあるんだよ。

発振はなぜ起こるの?

ハウリングと発振の発生メカニズム、イラスト
 ハウリング現象
(マイクをスピーカに近づけた時)
送りねじの発振
(サーボ・ステッピングモータのフィードバック制御)
①検出器マイク
音を電気信号に変える
エンコーダ
角度・回転を電気信号に変える
②増幅器アンプ
音の電気信号を増幅する
サーボコントローラ・アンプ
回転指示、動作結果を比較してその差を増幅してゼロにするようにモータを制御する
③駆動部スピーカ
増幅された電気信号でコーンを振動させ空気振動で音を発生

モータ
指令の電流でモータを回転する
送りねじシステムの固有振動数が刺激される
 

送り軸の周波数特性
ループ発生した音を近くのマイクが拾って①に戻り②、③と繰り返しループ状態となるモータの動作および外乱である固有振動数が刺激され①に戻る。①に戻された固有振動数は増幅され②、③、①とループ状態となる

はまちゃん: カラオケの「ハウリング」と、サーボモータやステッピングモータの「発振」が似ているとは、驚きです!

橋本先生:工作機械や半導体製造装置、製造設備のアクチュエータなどに、多くのサーボモータが利用されているよ。その仕組みについても紹介しておくよ。

 カラオケの「ハウリング」と、サーボモータやステッピングモータの「発振」が似ているとは、驚きです!

送りねじ機構におけるサーボモータの発振現象
 

サーボモータの構成と制御の仕組み、イラスト
  1. サーボコントローラから回転速度や回転角度、位置を指示。
  2. サーボアンプは⑴の指示に従ってサーボモータに電流を流して制御。
  3. サーボモータは⑵の指示に従って動き出し、指令に対して合っているかエンコーダ(検出器)によって 情報をフィードバックし、常に補正をしながら追従する。 ※ここで速度や位置情報の精度を上げるためにシステムの感度(ゲイン)を上げていく。 感度(ゲイン)を上げていくと、装置の振動(固有振動数)がエンコーダを介してフィードバック信号に 混入する。
  4. サーボモータは⑶の固有振動数でわずかでも加振する。 装置の固有振動数をエンコーダが検出し、この固有振動数をコントローラのアンプの感度でさらに増幅し、 この固有振動数でモータが加振することにより、「機械共振」が 起き、エンコーダが検出してエンドレスなループとなる。

■サーボモータとは?

モータ内のセンサーによって運転を監視することで、高精度な「位置制御」「速度制御」「トルク制御」を可能とするモータのこと。

■自由振動とは?

  • 一度外力を加えると振動が継続する現象。
  • 振動は時間とともに減衰する。
  • 同じ構造物では発生する振動は同じで「固有振動数」と呼ばれる。

■強制振動とは?

  • 周期的な外力で振動する現象。
  • 外力の周期が変わると振動数が変化する。
  • 加えた振動数が固有振動数近くになると、共振が起き非常に大きな振動が発生する。

■共振とは?

  • 固有振動数」と同じ周波数で振動を与えると、加えた振動の大きさよりもはるかに大きい振動が発生する現象のこと。
  • 共振の大きさは伝達率(右図)で表され、材質の減衰比で決まる。
  • 金属の場合は元の振動に対して数十倍、ゴムの場合は数倍の共振振動が発生する。

【右図解説】

  • ζ=0.01未満 金属
  • ζ=0.02~0.04 金属製の連続構造
  • ζ=0.05 ゴム
  • 周波数比率=強制振動数/固有振動数
減衰比のグラフ

はまちゃん: 高精度、高応答のためにサーボモータの感度を上げてくると、今度は機械の「固有振動数」を刺激して「発振」が起きてしまうのですね! また、物の「固有振動数」は、さまざまなところに影響することもわかりました。 「固有振動数」を事前に知ることはできないのでしょうか?

橋本先生:最近では、解析技術が進んで「固有振動数」をシミュレーションすることが出来るんだ。簡易的には以下の計算式で求められるよ。

■送りねじシステム固有振動数の簡易計算式

橋本先生:「発振」や「共振」は部品の破損や装置の故障原因となることがあるので、注意する必要があるんだ。初めて装置を動かすときにサーボシステムの調整をすることが大切なんだよ。

発振しない方法はないの?

はまちゃん: 「発振」や「共振」の原因や関係性は理解できましたが、「発振」を防ぐ方法はないのでしょうか?

橋本先生:いい質問だね。まずは先程のサーボモータを例にして、「発振」を防ぐ方法を説明していくよ。サーボモータで「発振」や「共振」が発生する原因はなんだったかな?

はまちゃん: サーボ機構のフィードバック制御に入り込んだ外乱(この場合は機械の固有振動数)が原因です。

橋本先生:その通り!具体的な対策方法は以下だよ。


 

発振を防ぐための対策

対策①:サーボモータのオートチューニング機能で調整<
サーボモータに付属のオートチューニング機能で調整を行う。 初めて動作させる際に行う必要がある。オートチューニング機能がない場合は、サーボモータの制御盤で調整するため、専門的な知識が必要。

対策②:ドライバのフィルタ機能で制御(①で解決できない場合)
機械系の固<有振動数がシステムに入り込まない様に、その固有振動数を把握して電気的に抑制する。 (ノッチフィルタ、電流ループ指令フィルタ)
サーボモータ自体にこの固有振動数を測定する機能が付いている場合もあり。 (周波数応答線図測定)

対策③:高減衰ゴムカップリング(ステップフレックス)を使用
減衰性のあるゴムカップリングにより、共振時の振動を吸収することで、機械・装置のねじり固有振動数のピークが抑えられ、サーボの発振を抑制することができる。(金属カップリングと比較) 高精度位置決めや、油・高温雰囲気で使用する際には、注意が必要。

■サーボモータの周波数性能の比較

サーボモータの周波数性能の比較

ゴムカップリングのステップフレックスでは固有振動数の1kHz付近の山が抑制され発振しにくいことが想定できる。

■サーボモータの発振現象 対策動画



 

はまちゃん: サーボモータ自体に備わっている仕組みやカップリングを変更することで、「発振」を防ぐことができるのですね!
「発振」や「共振」についてたくさん勉強して、設計や技術開発について色々な提案ができるようになりたいです!

「発振」や「共振」についてたくさん勉強して、設計や技術開発について色々な提案ができるようになりたいです!、イラスト
橋本先生のイラスト

監修・講師

橋本先生 / 三木プーリ株式会社

1972 年三木プーリ株式会社 入社。プロダクトマネージャーとしてマー ケティング・技術を担当し、国内外問わずに活躍。 さらに、企業のみならず大学や専門機関との共同研究にも従事。 現在は、技術指導・社員教育も担当。